皆様、こんにちは!
美術鑑賞会のちーです。
11/5(日)にサークル13回目の活動として、 新宿のSOMPO美術館「ゴッホと静物画―伝統から革新へ」展を鑑賞に行きました!
今回のゴッホ展は、ゴッホの作品の中でも静物画だけを取り上げた比較的珍しい展覧会でした。
ゴッホの初期作品からその足跡を辿るとともに、西洋絵画における静物画の流れをルノワール、セザンヌ、ゴーギャン、といった巨匠たの作品とともに知ることができます。
個人的には、上記印象派の画家たちの描いた花の絵をじっくり見比べる事ができたのがポイントでした。
それから、静物画だけに絞られていた事もあり、ゴッホの画風の変化も追いかけられたかと思います。
展示ではゴッホの人生についてはそれほど語られていなかったので、今回はそちらにピントを当て少し解説を織り交ぜながら書いてみました。
展示の始めには、ゴッホがまだパリに出る前のオランダ時代の色彩を抑えた静物画が複数並べられていました。
形や線を模索するような如何にも修行中です!という作品には、少しゴツゴツしたゴッホらしい形態の捉え方が表れているような気がしました。
そちらも良かったのですが、ここで取り上げたかったのはゴッホがパリに出てから描いた花の絵です。
1886、87年に描いた複数の作品が展示されていました。
第8回の最後の印象派展が86年開催ですから、当時のパリは既に印象派が広まった後、むしろ最盛期を過ぎた頃と言えるかもしれません。
その流行に触れたゴッホもまた同様に光を色彩で表現することを追い求め、段々とキャンバスが鮮やかになっていった時代です。
まずは86年の《赤と白の花をいけた花瓶》(ボイマンス・ファン・ブーニンヘン美術館)。
公式サイトの解説によると、ゴッホはパリでモンティセリという同時代の画家の花の絵に出会い、大きく影響を受けたとか。
下が同じく展示されていたモンティセリの《花瓶の花》(1875年、クレラー=ミュラー美術館)ですが、確かに似ていますね!
またゴッホのこの花の絵には、花瓶の様子といい、縦長のキャンバスと言い、どことなく和風の雰囲気が漂っています。
当時は1867年、78年のパリ万博に日本も出展し、パリの美術界で多いにジャポニズムが流行った時代でもありました。
パリに2年滞在した後、ゴッホは憧れの日本のような地を求めて88年に南仏のアルルへ向かうほど、ゴッホはジャポニズムに大きな影響を受けたのです。
翌年87年の《青い花瓶にいけた花》(クレラー=ミュラー美術館)は先ほどの作品と比べ画面全体が明るく、青と黄色のゴッホ独特の配色センスがしっかり見て取れます。
さらには新印象派特有の点描表現に倣ったリズムあるゴッホお馴染みのタッチもこの頃に取り入れられた事が分かります。
先ほどの作品と比べてたった一年で随分変わりましたね。
パリに出て、目にする全てが新鮮に映るゴッホの子供のような気持ちが想像できます。
ゴッホは色とりどりの花を描く事で色彩の実験をしていたそうですから、試行錯誤する楽しさを感じていたのでしょう。
ここまでは、当時の新しい表現をどんどん吸収していくと言う面が大きいですが、アルルに着いてからこそゴッホのオリジナリティが花開くことになります。
アルルに着いた88年、描いたのがかの有名なこの作品《ひまわり》です。
南仏の明るい陽光の元、さらに色彩は鮮やかさを増しています。
今回の展示のメイン、これを見て皆様何を感じるでしょうか?生き生きとした生命力でしょうか?まっさらな知識の方は是非感じたまま素直にご覧になってください。
実はこのひまわり、SOMPO美術館の所蔵作品ですからほぼいつでも見ることができるのですが、今回はいつもと少し様子が違っていました。
通常は分厚い展示ケースの中、薄暗い照明で毎回目を凝らして見ていたのですが、今回はケースなしの明るい照明の元、全体をはっきり鑑賞することができました。(ですので撮影可能ということで撮った写真を上げます。)
様々な画家の美しい花の絵を辿って来て、この大きなひまわり、と言う流れでしたから、まるで抽象絵画のような表現は一際異彩を放っていて目が釘付けになりました。
このひまわり、実は描いたゴッホ本人も大層気に入ってバージョン違いの同じタッチの作品を全部で7点残しています。
最初の作品は夏のアルルでこれから共同生活を始めるゴーギャンを待ちわびて、解説では11月に描かれたとあったこの作品はゴーギャンと喧嘩別れする直前でしょうか。
そう、実はこのひまわり、明るい夏の日差しの下これから始まる仲間との生活に胸をワクワクさせながら描いたと自分はずっと思っていたのですが、時期的にちょっと合わないみたいなのです。
先に述べたような展示の構成的にもこのひまわりは周囲から浮いており、これでは共同生活なんて上手くいかないよなぁなんて納得してしまいました。
それだけゴッホが個性的なんですが、ゴッホの新しいところはこの通り感情をそのまま筆にのせたところです。感情の分だけ絵の具ものってます!
鮮やかな黄色で力強いタッチで描いたひまわりに生命力やこれからの期待を感じるとともに、よくよく見れば萎れたひまわりが所々に…どうしても当時のゴッホの心情に思いを馳せてしまいます。
だからこそ、この作品、ゴッホがどんな人物かを知らず先入観なしで知識をまっさらにして見たら自分はどんな感想を抱くのだろう?と思ってしまいました。
まだ自分が学生だった頃初めて目にした時はそんな状態だったと思うのですが…変わっていく自分の鑑賞視点を認識することも常設展示の醍醐味なのかもしれませんね。
長くなりましたが、せっかくなので個人的に気に入ったゴッホとほぼ同時代の2人の画家の作品も取り上げます。
まずはルノワールの《アネモネ》(1883~90年、ポーラ美術館)。
先ほど取り上げたゴッホの《青い花瓶にいけた花》の一つ手前に配置されていた作品です。
比べてみると両者の個性が感じられて面白いです。ルノワールも筆の跡が残るような荒いタッチで描いているのですが、全体に優美さが漂っています。
ルノワールはこの頃、印象派から少し離れて新古典主義の少しかっちりした様式で描いていたのですが、絶妙な色彩のバランスは変わっていません。
主題がアネモネと派手な事もあり、色調は抑えられているのに華やかですね。
ゴッホの作品の方が明るく、小ぶりで色とりどりの花の寄せ集めという事もあって活気がありますが、ルノワールの絵もパワーでは全く負けておらずかなりの個性派だと思います。
続いて二人よりも少し年長のアンリ・ファンタン=ラトゥール《プリムラ、洋ナシ、ザクロのある静物》(1866年、クレラー=ミュラー美術館)。
こちらは正統派の静物画です。静物画の伝統に沿って、花の鮮やかさが映える漆黒の背景に、食卓を飾るように果物と花、そして果物ナイフが置かれています。
漆黒の背景はモンティセリの影響が大きかった頃のゴッホも描いていましたね。
この作品ではそれほど特徴が出ていませんが、彼の作品はアンティーク調の穏やかな花の絵が多くとても素敵です。
それから自画像がイケメン笑。
それはさておき、このような西洋の静物画の伝統の上にゴッホのあの《ひまわり》がある、というのが展示で表現されていたのかなと思います。
というより、ゴッホ自身がオランダ時代の薄暗い色調から、段々と明るさを増していき感情にあふれた《ひまわり》に至る、という西洋画の流れそのものをなぞっているようにも思えてきました。
今回の展示は静物画オンリーという事で振り返るとなかなか玄人好みだったように思います。
実際、参加してくださった方からも難しかったという感想も聞かれました。
また、ゴーギャンの《花束》(1897年、マルモッタン・モネ美術館)を挙げて赤い花が血のようにも見えた、という意見もありました。
実はこの作品のキャプションには、最愛の娘を亡くし体調不良や金銭苦にあえぐ中で描かれたのだろうとあります。
一見して穏やかな花の絵だな、としか感じられなかったので、とても驚いてしまいました。
先入観なく目の前にある作品だけをただ眺めたいと思う反面、知識や情報があって初めてじっくり鑑賞できる事もあります。
今回の展覧会では、アートの鑑賞方法について考える良いきっかけにもなりました。
最後に、展覧会にはかのひまわりの前に描かれたゴッホの《結実期のひまわり》(1887年、ファン・ゴッホ美術館)が展示されています。そちらも思わずえっ!となるような印象的なものでしたのでまだ観てない方は楽しみにしていてください。
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コミュニティ名 | 社会人勉強コミュニティ・サークル|東京自習会 |
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コミュニティの種類 | サークル |
代表者 | 古岩井 脩理 |
ジャンル | IT・Web / 語学・国際交流 / 勉強・教養 |
キーワード | 継続メンバー / 社会人 / 大学生・専門学生PO / シニア / 資格を活かせる / 土日中心 / 平日中心 / 初心者歓迎 / イベント / クラウドファンディング |
活動エリア | 東京都新宿区 / 東京都渋谷区 / 東京都豊島区 |
主な活動日・時間 | 朝 / 平日 / 週末 / 昼間 |
活動費 |
無料 基本無料
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